形状記憶合金は流通しているものの大部分がチタンと
ニッケルが半々の合金で、
組成比が0.1%変わっただけで
変態点が10℃変わってしまうような、
組成比の影響が非常に大きな合金です。
ですが、チタンとニッケルは比重差が大きい為、
鋳造のように一度溶かして冷やし固めると、
通常はチタンとニッケルが分離し
部分的に組成比が変わってしまうので、
全体が均一な鋳造品を作る事ができません。
弊社は燃焼合成法を用いる事で鋳造を行っても
チタンとニッケルが分離せず、
組成比が変化しない材料を作成する事に成功し、
日米の特許を取得いたしました。
1.
あらかじめチタン(Ti)とニッケル(Ni)の粉末を製品目的の配合に合わせて精密に重量測定して混錬機によって混ぜ合わせ坩堝(ルツボ)に入れます。
2.
坩堝を高真空チャンバーに入れます。
3.
チャンバーの中に入った坩堝の中の混錬されたチタンとニッケルの一端を強熱して点火をします。
4.
チタン・ニッケル粉末に点火されると化学反応を起こし生成熱を生じます。
5.
この生成熱は点火点の周囲を加熱し、着火点温度に到達して更なる化学反応を起こし、さらに生成熱が生じてその周りの混合粉末を加熱します。
6.
この連鎖反応によって、隣接した混合粉末全体に科学反応が伝播して、最終的に混合粉末全体が化合物になります。
7.
チャンバー内は高真空で化合物はチタンとニッケル粉末しかなく、Ti-Ni-Ti-Ni-Ti-Ni-Ti-Niと連鎖した金属間化合物となります。反応時に出る余分なガス等は高真空で吸い取られます。
Self-Propagating
High Temperature
Synthesis
(自己燃焼合成法)
元素間の強い発熱反応を利用しつつ、
化学反応を燃焼波として自己伝播させることにより、
金属間化合物を合成する方法。
●
Ti-Niの生成熱は67.78KJ・molで通常の溶解温度よりもかなり高温で溶解する。
●
TiとNiの比重差、融点の差は大きく、溶解法で作ったインゴットは重力偏析が起きやすいが、それが解消されている。
●
燃焼合成の化学反応による伝播速度は非常に早く反応後の化合物の冷却速度が速い。(化合物の溶融状態時間が非常に短い)
●
このインゴットを使用してTi-Ni鋳造製品を作ることが可能(特許)
1.
現在流通しているチタンニッケル形状記憶合金はφ3mmくらいまでの線材とそれを加工した帯材、パイプ材がほとんどですが、複雑形状のものや、三次元形状の製品作成が可能になります。
2.
難加工材料のTi-Ni形状記憶合金を機械加工することはコストアップになりますが、精密鋳造で形状を作成できますのでコストダウンが見込めます。
3.
この自己燃焼による製造方法によって製造時に余分な加熱エネルギーを使用しないので、省エネルギーで製品ができます。
形状記憶合金のインゴット販売も受け付けております。
開発や研究で、幅広くお使いいただけます。
キャスト機
インゴット